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HTMLサイトのまま運営するかどうか

HTMLサイトのまま運営するかどうか

HTMLサイトのまま運営するかどうかという点について。

HTMLサイトに関しまして、検索順位向上やアクセス増加のためのSEOの定期的な実施や
Web広告効果の測定などに伴うABテストなどの実施を前提とするような、自社作業による頻繁な改変がないのであればHTMLサイトで良いと考えております。

その理由といたしまして、ひとつは軽微なテキスト修正や画像変更、画像の追加程度であれば、単発で修正のご依頼を頂いても価格が数千円単位と安価である点です。

もう一つは、トップページ等に対して大幅な改変を行う場合は、WordPressのエディタの記述では実施が難しいプログラムソースコードを組み込むケースが多く、結果的に修正依頼をいただくケースが多いという点です。

検討のポイントとしては、「ホームページの内容を自社で頻繁に内容を変えられるケースが多いかどうか」という点であると考えております。

HTMLサイトをそのまま運営していくかどうかは、多くの企業にとって悩ましいテーマです。特に、中小企業や個人事業主の方々からは「いまのホームページをわざわざWordPressに移行する必要はあるのか」という相談をよくいただきます。この問いに対する答えは一概には決められず、運営のスタイルや目的、今後の発展性によって最適解が変わってきます。

まず、HTMLサイトを維持する場合の大きな利点は、安定性と軽量さにあります。CMSを利用すると便利な反面、プラグインやテーマ、システム本体の更新を常に意識する必要があり、それに伴うセキュリティリスクや管理コストが発生します。その点、HTMLサイトは基本的にファイルがサーバーにアップロードされているだけなので、システム障害のリスクが極めて低く、更新を怠ったことで脆弱性が生じるという心配もありません。安定した環境でサイトを維持できるのは、特に情報更新が頻繁でない企業にとって安心できる要素です。

さらに、修正コストの安さもHTMLサイトの魅力です。前述のように、テキストや画像を少し差し替える程度であれば、数千円単位で外部に依頼できるため、自社で編集できるCMSのメリットがそれほど大きく感じられないケースもあります。頻繁な更新が不要で、必要なときに専門家に任せるスタイルをとる企業にとっては、むしろHTMLサイトのほうが効率的だといえるでしょう。

一方で、WordPressのようなCMSに移行することで得られる自由度も見逃せません。記事を追加したりレイアウトを変更したりといった操作を自社で完結できるため、社内で情報発信を積極的に行いたい企業には大きな利点となります。

SEOを強化したい場合や、広告運用に伴ってランディングページを繰り返しテストする場合など、スピード感を持って更新できる仕組みは重要です。つまり、どちらが優れているかではなく、自社がどのような更新体制を求めているかによって選択が分かれるのです。

また、SEOの観点から考えても両者には違いがあります。HTMLサイトはソースコードがシンプルなため、クローラビリティ(検索エンジンがページを読み込むしやすさ)の点では優れています。不要なスクリプトやプラグインの影響がない分、読み込み速度も速く、ページの表示パフォーマンスにおいて優位です。

ただし、内部施策を強化する際には専門知識が必要になることが多く、ページごとにメタ情報や構造化データを設定する際には手間がかかります。CMSであれば、専用プラグインや管理画面上の入力項目を活用して比較的容易にSEO設定を行えるため、専門家でなくともある程度の対応が可能です。

もうひとつ考慮したいのが、今後の事業展開です。もし現状で更新の必要性が少なくても、将来的に情報発信の重要性が高まる可能性があるなら、CMSへの移行を視野に入れる価値は十分にあります。特に採用活動や海外向け情報発信を強化する予定がある企業では、頻繁なコンテンツ追加や多言語化への対応が必要になることが多く、そうしたときにHTMLサイトでは限界を感じる場面が出てきます。逆に、地域密着型で限られた範囲の顧客にサービスを提供し、大きな情報更新もない業種であれば、長期的にHTMLサイトを利用し続けても不都合はほとんどありません。

運用コストについても両者を比較する必要があります。WordPressの場合、レンタルサーバーやセキュリティ対策、バックアップ体制の整備といった維持費が継続的に発生します。加えて、テーマやプラグインの互換性問題によって不具合が発生することもあり、そのたびにメンテナンス作業が必要です。一方HTMLサイトは、基本的にサーバー維持費だけで済みます。セキュリティリスクも低いため、管理の手間は最小限で済みます。費用対効果の観点からも、更新頻度が低いサイトであればHTMLのほうが適しているケースは多いのです。

ただし、注意しなければならないのは拡張性です。たとえば、EC機能を追加したい、会員制サイトにしたい、といったニーズが出てきた場合、HTMLサイトではゼロからプログラムを組む必要があり、大きなコストが発生します。WordPressであればプラグインを導入することで比較的容易に機能拡張が可能です。今後の発展可能性をどう見積もるかが、選択の重要なポイントとなります。

人的リソースの観点も考える必要があります。社内にHTMLやCSSを扱える担当者がいるのか、それとも外部にすべてを依存するのかによっても判断は変わります。担当者がいない企業にとっては、CMSの管理画面から簡単に更新できる環境のほうが心理的なハードルが低いかもしれません。しかし、担当者を配置できない場合でも、結局は外部に依頼することになるのであれば、HTMLサイトで十分という結論に至るケースもあります。

総合的に見れば、「自社で更新したいのか、外部に依頼するのか」という方針が最大の分かれ目です。もし今後も外部依頼が中心であり、更新頻度も少ないのであれば、HTMLサイトをそのまま運営するのが賢明です。逆に、自社でマーケティング活動を強化し、積極的に情報発信していきたいという意欲があるなら、CMSへの移行を検討すべきでしょう。

現実的な判断としては、いきなり移行するのではなく、まずは現行の運用を整理することです。過去1年間でどの程度更新があったのか、今後どのような施策を行う予定なのかを洗い出し、必要性が高ければCMS化を進め、必要性が低ければHTMLを維持する。このプロセスを踏めば、無駄な投資を避けながら最適な選択ができます。

HTMLサイトかCMSかという議論は、技術的な優劣ではなく「運用スタイルに合致しているかどうか」という一点に集約されます。軽微な修正を外注で済ませられるのであればHTMLの安定感は大きな強みになりますし、逆に頻繁な更新を社内で行うならWordPressなどのCMSは強力な武器になります。将来のビジネス展開をどう描くかを見据えて、冷静に判断していくことが求められるのです。