ホームページ(ウェブサイト)の保守について。ホームページ(ウェブサイト)の種類に応じて必要な保守作業は大きく異なりますが、制作・公開後も定期的な保守管理作業が必要になります。
ホームページ(ウェブサイト)の保守とは、「ホームページの正常な公開状態を保つこと」を意味し、さらに「ホームページが正常に表示され、様々な機能が正常に動作している状態を保つこと」がホームページの保守であると考えることができます。ホームページ(ウェブサイト)の公開状態を保つために必要な保守作業の範囲は、技術的な面から、各種契約の支払いといった実社会的なことまで様々です。
企業や個人が情報発信を続ける上で、安定した表示とスムーズな動作は信頼の基盤となります。特にWordPressサイトやECサイトのようにシステムが複雑化している場合、保守を怠ればセキュリティ上のリスクや顧客の機会損失につながる可能性が高くなります。したがって、日々のバックアップ、バージョンアップ、動作チェック、不具合発生時の迅速な復旧は欠かすことのできない業務です。
ホームページ保守の作業範囲・内容
ホームページの種類によっては、さほど保守管理が必要でない場合もありますし、自社対応が可能な場合もあります。全てに共通する基本的な保守内容は次のとおりです。
ドメイン(URL)・SSL関連の保守
ドメイン関連は、基本的にドメイン契約が継続していればさほど問題は生じません。また、無料SSL等であれば自動更新される場合がほとんどですが、種類に応じて別途更新作業が必要な場合があります。
サーバー関連の保守
Webサーバー自体の保守は、サーバー会社が実施されています。サイト制作者、サイト運営者側の、サーバー関連の保守としては、サーバー上の設定、主にphpバージョン、MySQL・MariaDBのバージョン、その他プログラムのバージョンについての保守作業があります。
ホームページ(ウェブサイト)の保守
ホームページ(ウェブサイト)そのものの保守作業はホームページの種類によって異なります。静的HTMLサイトの場合は、特に変更のないデータを保存しておけば良い程度です。一方、WordPress等CMSの場合やECサイトなど複雑なシステムを導入している場合は、保守・メンテナンス作業の範囲は広くなります。
それではホームページ(ウェブサイト)自体の保守を詳しく見ていきましょう。
ホームページ(ウェブサイト)自体の保守
ホームページ(ウェブサイト)自体の保守内容の基本、サイトデータのバックアップと各種バージョンのバージョンアップ、動作チェック、動作停止の場合の修正や代替措置などです。
- サイトデータバックアップ
- 各種バージョンのバージョンアップ
- 動作チェック
- 動作停止の場合の修正・代替措置
静的HTMLサイトであればさほど保守のことを考える必要はありません。しかし、WordPressサイトやECサイトならばメンテナンスの範囲はかなり広がります。
必要な範囲に応じて保守作業を実施する形になりますが、ホームページ(ウェブサイト)保守の基本は「バックアップと各種バージョンチェック・更新」となります。ただ重要になるのは、不具合発生時の復元や修正ができるかどうかです。
定期的なバックアップの必要性
サイトデータのバックアップは、保守作業の中でも最も基本かつ重要な要素です。システムエラーやサーバー障害、予期せぬ攻撃によってデータが失われた場合、バックアップがなければ復元は不可能になります。創業期であっても、少なくとも週に一度、更新頻度の高いサイトであれば毎日のバックアップが理想です。
バックアップ対象の範囲
単にHTMLや画像データを保存するだけでなく、WordPressであればデータベースとファイルの両方を確実に取得する必要があります。データベースには記事や固定ページ、ユーザー情報などの動的な情報が格納されており、ファイルにはテーマやプラグイン、メディアファイルが含まれています。この両者をセットで保存することが完全復旧の前提条件です。
バックアップの保管場所
バックアップは同一サーバー内に保存するだけでは不十分です。サーバー自体が障害を起こした場合にはアクセスできなくなるため、外部のクラウドストレージやローカル環境にも複数のコピーを保持することが推奨されます。さらに、一定期間ごとに古いバックアップを整理しつつ、直近数週間から数か月分は保持する体制が安心につながります。
各種バージョンアップとその対応
WordPressサイトやECサイトでは、コアシステム、プラグイン、テーマなどさまざまな要素がバージョンアップの対象となります。これらはセキュリティの脆弱性を解消したり、新機能を提供したりするために頻繁に更新されます。
バージョンアップのリスクと対策
ただし、バージョンアップには不具合発生のリスクが伴います。プラグイン同士の競合やテーマとの非互換性が生じると、表示崩れや機能停止につながる可能性があります。このため、更新を行う前には必ずバックアップを取得し、テスト環境で動作確認をしてから本番サイトに反映する手順が理想です。
更新を怠った場合の危険性
一方で、更新を先延ばしにすると、セキュリティホールを突いた攻撃の標的となりやすくなります。実際に古いバージョンのWordPressやプラグインを放置した結果、不正アクセスや改ざん被害に遭うケースは後を絶ちません。更新作業は煩雑に感じられることもありますが、定期的に行うことで安全性を維持し、長期的にはメンテナンスコストを削減することにもつながります。
動作チェックの重要性 定期的な点検の目的
サイトは公開されていても、すべてが正しく機能しているとは限りません。リンク切れや表示崩れ、フォームの不具合などは訪問者にとって大きなストレスとなり、機会損失につながります。そこで、定期的な動作チェックを行い、目に見える部分と管理画面の両方を点検することが必要です。
チェック対象の範囲
チェック対象は、トップページの表示速度やレイアウトだけではありません。お問い合わせフォームの送信機能、商品購入ページの決済処理、画像や動画の表示など、ユーザーの行動に直結する部分を優先的に確認することが重要です。さらに、スマートフォンやタブレットなど複数のデバイスでの表示確認も欠かせません。
不具合発生時の修正と代替措置 復旧スピードの重要性
万が一サイトが停止した場合、復旧までの時間が直接的に機会損失へとつながります。特にECサイトでは、1時間の停止でも売上に大きな影響を与えることがあります。そのため、不具合が発生した際には迅速に原因を特定し、修正作業を進める体制を整えておくことが重要です。
代替措置の考え方
復旧までに時間がかかる場合は、一時的な代替措置を講じることも検討すべきです。例えば、メンテナンス画面を表示して「現在復旧作業中である」ことを明示する、あるいは問い合わせ先を別途提示して顧客との連絡を絶やさないといった対応が信頼維持につながります。
静的サイトの保守
静的HTMLサイトの場合、構造がシンプルであり、更新頻度も少ないため、保守にかかる負担は比較的軽いです。主にバックアップと動作チェックを行えば十分であり、バージョンアップの心配はほとんどありません。
WordPress・ECサイトの保守
一方、WordPressやECサイトはCMSやデータベースを利用しているため、セキュリティ更新やプラグインの管理が不可欠です。また、決済システムや在庫管理システムとの連携がある場合、影響範囲はさらに広がります。そのため、静的サイトと比べて数倍の保守コストと専門知識が求められるのです。
内製化のメリットと課題
自社で保守を行う場合、即応性が高く、コストを抑えられるというメリットがあります。しかし、担当者に十分な知識と経験がなければ、不具合対応に時間がかかり、かえってリスクを高めてしまうことがあります。
外注のメリットとリスク
保守を外部の専門業者に委託すれば、専門的な知見に基づいた対応が期待でき、安定した運用が可能になります。ただし、費用がかかる点や、依頼してから対応までにタイムラグが生じる点には注意が必要です。重要なのは、自社のサイト規模や重要度に応じて、内製と外注を適切に組み合わせることです。
保守体制を構築
ホームページ保守は単なる作業ではなく、企業の信頼を支える重要な戦略要素です。バックアップ、バージョンアップ、動作チェック、不具合対応のサイクルを定期的に回すことで、安定した集客基盤を維持することができます。また、将来的にサイト規模が拡大した場合にも対応できるよう、保守体制を計画的に構築しておくことが望まれます。
創業期に小さな規模であっても、保守を軽視しない姿勢は企業の成長に直結します。逆に、保守を怠った結果、機会損失や信用失墜を招く事例は少なくありません。したがって、ホームページの保守は「コスト」ではなく「投資」であると認識し、長期的な視点で取り組むことが求められます。
ホームページ保守の基本は、定期的なバックアップ、各種バージョンアップ、動作チェック、不具合発生時の迅速な修正と代替措置です。静的サイトであればシンプルに管理できますが、WordPressやECサイトでは広範囲な保守体制が必須となります。さらに、保守を内製化するか外注するかは、自社の規模やリソースに応じて判断する必要があります。
最終的には、ホームページが安定して稼働し続けることが企業の信頼を支え、Web集客の成果を生み出す基盤となります。創業期からこの意識を持って保守に取り組むことが、長期的な成長と顧客満足につながるのです。